LANケーブルを別の部屋まで延ばしたいとき、「ケーブルが長くなると通信速度も遅くなるのでは?」と気になる方もいるでしょう。
LANケーブルは、長くしただけで通信速度が距離に比例して低下するわけではありません。規格に適合したケーブルを想定された距離内で使用していれば、数十mの配線でも規格上のリンク速度で通信できます。
ただし、最大距離を超えたり、通信規格に適していないLANケーブルを使用したりすると、通信が不安定になる可能性があります。
この記事では、LANケーブルの長さと通信速度の関係、最大距離の目安、長距離で配線するときの注意点を解説します。
LANケーブルは長くしても規格内の距離であれば基本的に通信速度は変わらない
LANケーブルは長くなるほど信号が減衰しますが、規格内の距離で適切に配線されていれば、長さに比例して通信速度が低下するわけではありません。重要なのは、必要な通信速度に対応したカテゴリのケーブルを、規格で想定された距離内で使用することです。
LANケーブルの長さよりカテゴリと通信規格の組み合わせを確認する
たとえば、1Gbpsで通信できる環境に適切なLANケーブルを使用している場合、5mのケーブルを50mに変更したからといって、リンク速度が10分の1になるわけではありません。
一方で、LANケーブルは長くなるほど信号の減衰が大きくなるため、規格で定められた距離を超えると必要な信号品質を維持できなくなる可能性があります。その結果、通信が不安定になったり、機器間で本来想定していたリンク速度を確立できなかったりすることがあります。
また、同じLANケーブルでも、利用するEthernet規格によって条件が異なります。そのため、長距離配線では「LANケーブルなら何でもよい」と考えず、1Gbpsや10Gbpsなど利用したい通信速度に対応したカテゴリを確認して選びましょう。
LANケーブルの最大距離は一般的なEthernetでは100mが一つの基準になる
1000BASE-Tなど一般的なツイストペアケーブルを使用するEthernetでは、チャネル全体100mが代表的な最大距離です。構内配線では、壁内や天井裏などの固定配線部分を90mとし、両端のパッチコードなどを含めて合計100m以内にする設計が基本となります。
10GbpsではLANケーブルのカテゴリによって対応できる距離にも注意する
1Gbpsの1000BASE-Tでは、適切なカテゴリのツイストペアケーブルを使用することで100mまでの通信が規格上想定されています。また、10Gbpsの10GBASE-Tについても、Cat6Aなど対応した配線システムでは最大100mの通信が想定されています。
一方、Cat6で10GBASE-Tを利用する場合は、単純に「最大55mまで利用できる」と考えない方がよいでしょう。既設のCat6では、周囲のケーブルから受けるエイリアンクロストークなど配線環境によって通信性能が左右されるため、距離だけでは判断できません。
これから10Gbpsの長距離配線を新しく構築するのであれば、100mまでの10GBASE-Tに対応したCat6Aを選択する方が確実です。LANケーブルを選ぶ際は、距離だけでなく利用する通信規格まで確認しましょう。
LANケーブルを長距離で配線するときはノイズやケーブルの扱い方にも注意する
最大距離以内であっても、配線方法が適切でなければ通信品質に影響することがあります。LANケーブルを強く折り曲げたり、必要以上に引っ張ったりするのは避けましょう。また、電源ケーブルやノイズを発生する機器との位置関係も確認することが大切です。
100mを超える場合はスイッチによる中継や光ファイバーも検討する
長距離でLANケーブルを敷設するときは、ケーブルを強く曲げる、踏みつける、過度な力で引っ張るといった配線を避けましょう。ケーブルの構造が変形すると、本来の伝送性能を十分に発揮できなくなる可能性があります。
また、電源ケーブルや電気設備などノイズ源となり得るものと長距離にわたって近接・並行配線する場合は、電磁的な影響にも注意が必要です。配線する場所や用途に合わせて、適切なケーブルと施工方法を選びましょう。
100mを大きく超える距離を接続したい場合は、1本のLANケーブルを無理に延長するのではなく、途中にネットワークスイッチを設置して区間を分ける方法があります。建物間や工場、大型施設など、さらに長距離を接続する場合は、光ファイバーによるネットワーク構築も選択肢の一つです。
LANケーブルは、長くしただけで通信速度が距離に比例して落ちるものではありません。適切なカテゴリのケーブルを規格内の距離で使用すれば、数十mの配線でも規格上のリンク速度で通信できます。
一般的なツイストペアEthernetでは100mが代表的な最大距離ですが、利用する通信規格やケーブルのカテゴリによって条件は異なります。特に10Gbpsなど高速通信を長距離で利用する場合は、対応カテゴリを確認することが重要です。
LANケーブルを長距離で配線するときは、距離だけでなく、必要な通信速度やケーブルのカテゴリ、周辺のノイズ環境、配線方法まで含めて検討しましょう。


